▼本文へ

▼基本メニューへ

▼便利メニューへ

▼総合メニューへ

このページを印刷する山梨厚生病院ロゴマーク

▲このページの先頭に戻る

簡易懸濁法研究会・総会・講演会

第8回 簡易懸濁法研究会 総会・講演会 平成26年6月27日 東京都渋谷区 】

長井記念会館ホール(渋谷区)にて開催された「第8回 簡易懸濁法研究会 総会・講演会」で発表してきました。

「経腸栄養剤および濃厚流動食への食塩添加によるチューブ流動性による実験」

○朝倉寛達1) 小倉麻由2) 雨宮美智子3)

山梨厚生会 山梨厚生病院(塩山市民病院)薬局1) 塩山市民病院薬局2) 山梨厚生病院薬局3)

 

<要旨>

【目的】経口摂取困難な患者に対して経管にて経腸栄養管理を行っていると、塩分の摂取不足が原因で低Na血症をきたすことがあり、食塩が投与されることがある。当院では経腸栄養剤や濃厚流動食(以下、栄養剤)と食塩を別々に投与しているが、栄養剤に食塩を添加したときの塩析等に関する製薬会社の試験結果や一般論文は乏しく、別投与の根拠となる情報が十分に得られなかった。そこで、現在当院で用いている栄養剤を使用して、食塩添加による経時的外観の変化および流動性に関する実験を行った。

【方法】①栄養剤(経腸栄養剤2種、濃厚流動食3種)に食塩を添加し、食塩濃度を0%、0.5%、1%、2%、5%、10%に調製、室温にて経過時間5分、1時間、3時間、6時間、24時間の外観を目視にて確認した。②①の結果を参考に0%、1%、10%に試料を調製、3時間放置後、経鼻胃管チューブ(8Fr,120cm)をセットした経腸栄養ボトルから自然落下にて5分後のチューブ通過量を3回測定した。

【結果】①食塩濃度1%、放置時間3時間で、もやもやした沈殿が見られる試料が1つあった。②チューブ通過量は食塩濃度に依存して少なくなる傾向が見られ、最も少なくなった試料では、0%:70ml→10%:34ml(低下率48%)であった。

                        【考察】今回の検証で、栄養剤に直接食塩を添加するとチューブを閉塞させるほどではないが、流動性が悪くなることがわかった。どの条件下でも閉塞しなかった点では、食塩の添加は可能とも考えられるが、実際にはチューブ等の器具の交換までの頻回使用を考慮する必要がある。繰り返し栄養剤を投与した場合のチューブ内の付着状況やチューブの劣化等の影響も重要であるため、今回の結果のみでの判断は難しく、現状では栄養剤と食塩は別々に投与することが望ましいと考えられる。ku0056

「日本病院薬剤師会関東ブロック第43回学術大会:朱鷺メッセ(新潟コンベンションセンター)」にて共同発表者として発表したものと同等の内容で発表してきました。http://www.kosei.jp/enzan/others/pharmacy/society/kanntouburokkudai43%e5%9b%9e.html

簡易懸濁法研究会は、薬剤の経管投与に関する「簡易懸濁法」を中心に、摂食・嚥下障害患者さまにおける安全で効果的な薬の投与に関する研究を行なっている団体です。簡易懸濁法研究会の総会は、全国各地から参加があり、薬剤の経管投与に精通した薬剤師が来るため、幅広い意見を交換することができました。

朝倉

 

▲このページの先頭に戻る