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コンチネンスサポートチーム(CST)における薬剤師の関わり

山梨県薬剤師会誌第17号へ掲載

現在ではコンチネンスケア委員会へと昇格し、薬剤師も一員として活動を行っている。

 


 

コンチネンスサポートチーム(CST)における薬剤師の関わり

山梨厚生病院 井上 学

コンチネンス(Continence)という言葉を知っていますか?これは、排泄のコントロールがついていることを意味する専門用語となります。この言葉の対義語となるのが、インコンチネンス(Incontinence)で、看護室でよく耳にする、失禁となります。

排泄は個別性が高く、患者に合わせた個々のケアが必要となります。排泄行為はデリケートな部分であり介助される側、行う側、両者の考えや思いがずれることで、排泄ケアが行き届かず、患者に不快な思いをさせてしまう可能性もあります。

山梨厚生病院では、2016年より看護部が主体となり、排泄障害の予防、治療、そのマネジメントを行うことで、オムツ交換や排泄介助を単なるケアからその人らしく支えていくケアを提供することを支援していくために、コンチネンスサポートチーム(CST)を立ち上げた。

同時期、2016年度の診療報酬改定にて「排尿自立指導料」が新設された。排尿自立指導料は、入院中で尿道留置カテーテル抜去後に、尿失禁、尿閉などの下部尿路障害の症状がある患者、あるいは現在尿道カテーテル留置中で抜去後に下部尿路障害を生ずると思われる患者に対し、専門的知識を有した多職種からなるチーム「排尿ケアチーム」と連携して、患者の排尿自立の可能性及び下部尿路機能を評価し、下部尿路機能の回復のための包括的なケアを行った場合に算定できる(詳細な算定条件は厚生労働省の資料を参照してください)。

当院でも、CSTより必要な研修を終了した看護師が誕生したことから、2017年6月より排尿ケアチームを設置し週1回の活動を開始することとなった。チーム設立時は、算定要件である医師、看護師、理学療法士で活動を行なっていた。

病棟カンファレンスに参加した際、この排尿ケアチームの活動内容を知った私は、薬剤が影響する下部尿路障害が原因でも介入できるのか確認したところ、排尿ケアチームより薬剤に関する専門的な視点が必要であることからチームの一員に加わってほしいと依頼があり、2017年10月から薬剤師が加入することとなった。

活動を始めると、排尿改善薬は、大きく分類すると蓄尿障害改善と排出障害改善、単純に溜めるか出すかでも、看護師の中には、「尿の薬」として同じに捉えている方もいたりします。さらに下部尿路障害の副作用を有する薬剤を服用しているか。さらには後発医薬品も混在する持参薬にリスクがある薬剤はあるか。泌尿器科医師からもすべてを把握することは困難だと呟かれたこともありました。チームに加入し、薬剤師の専門的なところを生かせる環境は多々あります。チーム内の潤滑油となり、患者に合わせた個々のケアを目指しています。

ラウンド中、看護師から「どの薬がいい?」と聞かれることもあります。排泄ケアについて答える際には、実際に使われている排尿・排便日誌をみて、使用薬剤を確認し、その患者の現状を把握したところで、理論的に有効な薬剤の選択を行ないます。薬剤投与後の変化を確認することも重要で、今までとどのような変化がでているかを看護師と話し合い継続的なケアを行なってもらいます。継続的なケアは、退院後の方向性によっても変化するためチーム内で患者ごとの目標を共有することも重要となります。これは、チーム医療だけでなく、薬剤指導を行う際にも必要なところにもなると思います。

実際に、精神科病棟で体験した例を挙げると、週1回程度の排便周期が、3日に1回へと改善、体重、腹囲の減少、刺激性下剤の使用量を大幅に減量、様々な便性状も一定の性状へと変化し、看護師も驚嘆する症例も体験することができた。

最後に、様々なチームで必要とされ、多職種の目線で話ができ、敷居の低い薬剤師になるため、日々研鑽を怠らないよう業務を行なっていきたいと思います。

 

 

 

 

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