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日本病院薬剤師会 関東ブロック第48回学術大会【ポスター発表】

日本病院薬剤師会 関東ブロック第48回学術大会

日時:平成30年8月25~26日

会場:栃木県総合文化センター、宇都宮東武ホテルグランデ


                                             【ポスター発表】

急性心不全患者の服薬アドヒアランス向上へのかかわり ~独居高齢者の1症例~

                                                             山梨厚生病院 小嶋恭平 朝倉寛達

 

【緒言】近年の日本は高齢化率28.0%(平成30年)の超高齢社会を迎えている。独居高齢者の増加は顕著で、男性約192万人、女性約400万人である(平成27年)。特に山梨県の高齢化は全国より高く、独居高齢者数も増加を辿っている。また、高齢患者の服薬状況は、用法や薬効の理解度、認知能、薬剤容器の開封能力、処方薬剤数、最近の処方変更と関係することが報告されている。そのため、服薬アドヒアランスを向上させる方策を立てることは重要である。本症例は、飲み忘れ防止の服薬支援ツールの個別活用を含めた支援の重要性を知り得た症例であるため報告する。

 

【症例】90歳、男性(独居)。急性心不全の精査目的で入院(2017.9/4~10/20)。冠動脈造影にて左前下行枝#7 90%狭窄と診断、経皮的冠動脈インターベンションが行われた。薬剤師として患者の負担を考え、服薬数・服用回数の軽減を図った。服薬指導では、患者の認知力に合わせ、薬剤情報提供文書の写真や文字を拡大した。内服薬の自己管理方法について、まずお薬カレンダーを提案したが「持ち運んだときに薬が落ちそう」という理由で拒否された。次に携帯可能なお薬ボックスを提案し試して頂いたが、「1週間分セットするのが面倒、取り出しにくい」という感想だった。患者の意見を基に、当院自作ツールを作成し提案したところ、受け入れてもらえた。また、退院患者が来局する薬局に情報提供を行い、入院中と同様の一包化になるようにした。退院一か月後、看護師、社会福祉士と同行し患者の生活環境を訪問して確認した。その際、服薬の継続が確認でき、自作したツールも使用していた。更にその後、服薬アドヒアランスを評価した。服薬アドヒアランスの評価は、「WHO2003」と「上野らの服薬アドヒアランス尺度」を参照としたアンケートで聞き取り調査を行った。アンケート結果は、服薬遵守度と服薬の納得度及び生活との調和度の項目で特に高い得点を得ることができた。

 

【考察】本症例では薬剤師が関わったことにより、患者の服薬アドヒアランスが向上した症例だと考える。自己管理方法の支援、薬薬連携の重要性が示唆されたと考える。

 

【意見交換した内容及び感想】

・患者さん一人ひとりにこのような服薬支援ツールを使用しているのですか?

→今回は独居高齢患者で退院後に社会資源を受けるつもりはないという患者さんであり、内服管理に心配があったためこのようなツールを提案しました。

・患者宅に行くことはよくあるのですか?

→退院後、本当に社会資源の利用なしで生活できているのか確認する目的で患者宅に行かせて頂いたため、特例になります。

・服薬アドヒアランスに関するアンケートの内容は、高齢患者にとって確かに理解しにくいところがあると思うので今後改良していく必要がやはりありますね。

・高齢患者への服薬支援を考える良い機会となりました。今後、自分の病院でも服薬状況の悪い患者さんにどのようなツールが良いのか提案してみたいと思います。

 

【示説を終えて】

今回は、私が1年目に関わった患者さんのことを発表させて頂きました。示説の時間では循環器の病棟薬剤師の方や薬局薬剤師の方に来て頂き、服薬管理の方法や処方薬の削減について意見交換しました。今回の発表を通して、服薬支援ツールの個別活用を含めた支援の重要性を考える良い経験になりました。ポスター発表をするにあたり、当院をはじめ系列病院の薬剤師の皆様にご意見やご指摘頂きまして誠にありがとうございました。

山梨厚生病院 小嶋恭平

Kkojima

関東ブロック第48回学術大会  ポスター発表

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