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山梨県薬剤師会誌 №22 2022.03 秋山真二

 

経腸栄養のコネクタの新規格の導入により簡易懸濁法が不適となった薬剤一覧表の作成

 

山梨厚生会 塩山市民病院 薬剤室 秋山真二

 

簡易懸濁法とは、錠剤粉砕やカプセル開封をせずに、投与時に錠剤・カプセル剤をそのままお湯(約55℃)に入れて崩壊、懸濁を待ち(最長10分)経管投与する方法である。¹⁾

簡易懸濁法は経管のチューブ閉塞を予防するために昭和大学の倉田先生が試行錯誤して生まれた投与方法である。粉砕法と比べて様々な利点があるが、薬剤のチューブ通過性を確認していることが大きな違いとなる。薬剤師として、調剤された薬剤が安全に経管投与を終了するまで関わることは重要であり、簡易懸濁法は服薬支援のひとつとして考えることができる。

 近年、製品分野間の相互接続を防止するコネクタに係る国際規格(ISO(IEC) 80369 シリーズ)の制定が進められており、我が国においても医療事故防止対策の推進や、国際的な整合による製品の安定供給のため、ISO(IEC) 80369 シリーズの導入に向けた施策を検討している。²⁾2019年12月からは、経腸栄養分野の誤接続防止コネクタの国際規格(ISO80369-3)(以下新規格)が国内でも導入され、旧規格の出荷は2022年11月にて終了予定となっている。各医療機関はそれまでに切替えの作業を行う必要がある。新規格と旧規格のコネクタは太さや形状が異なるため、相互に接続することはできなくなる。(図1)

《詳しくはPMDA「誤接続防止コネクタの国内導入について」³⁾を参照》

 この新規格の導入により、今まで簡易懸濁法ができていた薬剤が「不適(簡易懸濁法では経管投与に適さない)」へと変更になるものが出てくる。その理由として、新規格の注入器先端やチューブの接続部分の内径が2.9㎜と決められており、14Fr(フレンチ 1Fr=0.33㎜)以上の栄養カテーテルの内径より細くなっているからである。これにより既存の14Fr以上の栄養カテーテルでしか簡易懸濁法が投与できなかった薬剤は、新規格のチューブの接続部分を通過できなくなり簡易懸濁法は「不適」となる。

 簡易懸濁法の適否を調べる方法の一つとして、『内服薬 経管投与ハンドブック(じほう)』があり、2020年9月に第4版が発売されている。第4版では今回の新規格の導入に対応しており、「条1(条件付通過-チューブサイズにより通過の状況が異なる)」の14Fr.以上で通過する薬剤は「不適」と変更されている。しかし、第3版と比較してどの薬剤が「不適」へ変更されたかの一覧の記載はなかった。変更になった薬剤が抽出されていれば、各医療機関で新規格導入の際に、すべての薬剤で簡易懸濁法の適否を再確認する必要がなくなり、業務効率化につながると思われる。

 上記を背景として、2021年8月にWEB開催となった第51回日本病院薬剤師会関東ブロック学術大会に発表した内容を報告する。

 目的は、これから新規格導入を予定している医療機関の薬剤師に向けた情報提供として、「不適」と変更になる薬剤を把握するための一覧表を作成することである。

方法として『内服薬 経管投与ハンドブック第3版』に記載されている約4700品目の中で「条1」の14Fr.以上で通過する薬剤を抽出して一覧表を作成した。

その結果、約4700品目のうち15品目の薬剤が対象となった。(表1)

対象薬剤は全体の0.003%であり、顆粒・細粒・顆粒の入ったカプセル剤の割合が多かった。

ジェネリック医薬品は製造メーカーによって適否が異なるため確認が必要である。

また、今回は『第3版』をもとに調査したため、『第4版』になって追加された約2500品目の薬剤に関しての情報は含まれていない。

 簡易懸濁法を正しく行うためには薬剤師の介入は必要不可欠であり、そのことは令和2年度の診療報酬改定にて「経管投薬支援料」が新設されたことからもわかる。また、地域包括ケアシステムの構築の推進により、薬剤師も多職種と協力しながら住まいを中心とした患者へのシームレスな関わりが求められている。薬剤師として在宅医療に関わる時は、調剤された薬剤が問題なく経管投与されているのか、栄養カテーテルの規格は何を使用しているのかなど、簡易懸濁法が適正に行われるよう介入する必要がある。

 今回の一覧表の情報が簡易懸濁法の適正使用に利用され、薬剤師の業務効率化につながれば幸いである。

 

引用文献

1)内服薬 経管投与ハンドブック 第4版.じほう.2020

2)相互接続防止コネクタに係る国際規格(ISO(IEC) 80369 シリーズ)の導入について(平成2 9年1 0月4日)厚生労働省

3)PMDA「誤接続防止コネクタの国内導入について」 https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/medical-safety-info/0185.html

 

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